需給バランスと周波数の関係
- 電気を大量に貯蔵することは難しいため、消費量(需要)と発電量(供給)を常にバランスさせる必要があります。
- このバランスが崩れると周波数が変動し、例えば、地震などで発電機が緊急停止した場合には、需要が供給を上回り、周波数が低下します。
- 緊急停止した発電機の規模が大きいほど、またその時の需要の規模が小さいほど、周波数の低下の度合いは大きくなります。
- 複数の発電機の緊急停止などで周波数が大幅に低下した場合、運転中の発電機が安定的に運転できない状態となり、連鎖的に停止することで、大規模停電に至るおそれがあります。
季節ごとの特徴
電力需要は、季節や気象状況、時間帯によって大きな差があります。
1年の中で最も電力需要が高い時間帯は、夏の昼間です。
電気は貯めておくことができないため、安定して電気をお届けするためには、この時間帯の需要にお応えできるだけの発電設備を備える必要があります。
天候の影響を受け、晴れ、曇り、雨などの違いにより、消費のされ方が異なります。
供給予備力の必要性
気象変動による需要の急増や発電機のトラブル停止などに対応するため、広域ブロックでの供給予備率(注)8~10%を安定供給の目安としています。(適正予備率)
気象変動による需要増加 | 夏:気温が1℃上昇すると、需要が50~80万kW程度増加 エリアでの供給予備率に換算すると2~3%程度低下 |
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冬:気温が1℃低下すると、需要が30~45万kW程度増加 エリアでの供給予備率に換算すると1~2%程度低下 |
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発電機停止 | 100万kW級の発電機が停止 エリアでの供給予備率に換算すると4%程度低下 |
広域ブロックとは
調整力が連系線の運用可能な範囲で広域調達された場合、調整力が各エリアに均等にあるとは限らないため、エリア毎の予備率には大小が生じます。このため、エリア毎の予備率では需給状況のひっ迫度合を判断できず、広域的に見ることで初めて予備率が十分にあるかを判断できることになります。
連系線混雑のない範囲で、発電バランシンググループ、需要バランシンググループ(注)が属する広域エリアを、「広域ブロック」、その予備率を「広域ブロック予備率」と呼びます。
(注)インバランスを算定する対象となる、事業所の集団(単位)
大規模停電を防ぐために
中部エリアでの対応(周波数維持装置)
- 地震などにより中部エリアで複数の発電機が緊急停止し、周波数が低下した場合、60Hz系統全体の瞬動予備力(注)を有する発電機の出力増加や、50Hz系統から電力を自動的に受電することで需給バランスの回復を図ります。
- また、上記の対応だけでは足りず、周波数が著しく低下した際には、周波数維持装置により一部の需要への送電を停止することで、需給バランスの回復を図る仕組みを構築しています。
(注)瞬動予備力:発電機脱落時などの周波数低下に対して即時(10秒程度以内)に応答し、出力増加が可能な供給力
60Hz連系系統全域での対応(周波数低下リレー:UFR)
- 上記に加え、巨大地震に伴う複数の発電機停止など、これまで経験したことのないレベルの発電機停止や、複数エリアでの発電機停止により周波数が大幅に低下した際には、60Hz連系系統の全エリアで周波数低下リレー(UFR)により一部の需要への送電を停止する対策を実施し、周波数低下に対するレジリエンス向上を図っています。
周波数維持装置と周波数低下リレー(UFR)
- どちらも大規模停電を防ぐために、周波数低下を検出し、自動的に一部の需要を電力系統から切り離す装置です。
- 周波数維持装置は中部エリア内の事故による周波数低下に対して動作するのに対し、UFRは中部エリア内の事故に限らず、60Hz連系系統で大幅に周波数が低下した際に動作します。