主な疫学研究

スウェーデン・カロリンスカ研究所による疫学研究

1992年、スウェーデンのカロリンスカ研究所のファイヒティング博士とアールボム博士の疫学研究により、送電線から発生する磁界と小児白血病の発生との間に弱い関連性が見られるとの発表がありました。この研究はマスコミでも紹介され、大きな話題となりました。

研究方法

  • スウェーデン国内の220kV、400kV送電線から300m以内に居住する成人および小児を対象に症例対照研究を実施。
  • 磁界曝露指標として、磁界測定値、磁界計算値、送電線からの距離などを採用。住居タイプの違いなども比較。

研究結果

  • 小児白血病は、磁界計算値との間に弱い関連性(2mG以上で1mG未満に比べ2.7倍)が見られたが、実際の磁界測定値との関連性は認められなかった。
  • 一戸建て住宅では関連は認められたが、アパート(集合住宅)では関連性は認められなかった。
  • 全ガン、脳腫瘍、リンパ腫については磁界との関連は認められなかった。

報告書に対する評価

通産省(現 経済産業省)資源エネルギー庁「電磁界影響に関する調査・検討報告書」(1993年)

小児白血病と磁界計算値(磁界暴露履歴を過去の送電電流の記録から推定)との間に弱い関連性を示したが、脳腫瘍については関連性は認められず、他の研究結果と一貫性がないことや症例が少なく統計的な精度が低いことが指摘できる。

研究者自身の見解(ファイヒティング博士の1995年の博士論文より)

  • この研究のもっとも明らかな弱点は、症例数が少ないことであり、磁界暴露と小児白血病との関連についても、偶然ということで説明できる。
  • 将来の研究では、潜在的なその他の外的要因を考慮に入れなければならず、小児白血病との関連の説明として論じられてきた因子、例えば車の排気ガス、ウィルス感染、および殺虫剤を含めるべきであろう。
  • 一つの研究報告に基づいて、磁界と病気との関連性について確実な結論を見い出すことはほとんど不可能である。

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