CM・パンフレット

クレーン事故の撲滅に向けて

動画の内容

社会的被害と責任

アナウンサー:
建設現場でクレーンなどが送電線や配電線に接触する電気事故は後を絶ちません。
中部電力パワーグリッド管内でも毎年20件ほどの事故が発生しています。
長野県佐久市に来ています。私の頭上にはご覧のように送電線がはしっています。実は奥の橋を建設していた平成12年8月、クレーン車のブームが送電線に接触するという事故が起きました。

ナレーター:
その時の事故について、中部電力パワーグリッド社員の方に話を聞きました。

アナウンサー:
どのような事故だったのですか?

中部電力パワーグリッド社員:
橋の建設工事をしている時に橋の手前側にクレーンを止め、材料の入っているカゴを吊り上げていた。クレーン車のオペレータが誤ってクレーンのブームを電線に近づけ停電事故が起きた。

アナウンサー:
怪我人はいたのでしょうか?

中部電力パワーグリッド社員:
吊り荷を介錯していた玉掛け作業員の方が両手足に軽いヤケドを負った。軽傷だったので入院せずに済んだ。

アナウンサー:
周囲への影響は出たのですか?

中部電力パワーグリッド社員:
(送電線)接触事故がありますと、電気が止まってしまいます。病院・工場・一般家庭への変電所もあるので、そこから送っている一般家庭も短時間だが停電した。

アナウンサー:
この事故では幸い大きな被害はありませんでしたが、過去には大規模な事故も起きています。

ナレーター:
2006年、クレーン船が送電線を切断し、首都圏の広い範囲に停電を引き起こすという事故が起きました。139万世帯を停電に巻き込んだだけでなく鉄道が止まったり、信号が消えるなど交通への影響をはじめ、ATMの停止、エレベーター内への閉じ込めなど、社会に大きな影響と被害を及ぼしました。

アナウンサー:
この事故で切断されたのは特に電圧の高い送電線でしたが、普段皆さんが何気なく目にする送電線でも、思わぬ被害をもたらします。この地方での、事故が発生した場合のシミュレーションです。名古屋市南東部の77,000Vの送電線が断線した場合、ご覧のような複数の地域にまたがった範囲でおよそ7万世帯が停電します。また、鉄道の変電施設や病院なども停電となり、社会的な影響は深刻なものになると予想されます。そして電気事故を起した場合、その責任は事業者が負わなければなりません。

弁護士:
電力会社に対する民事上の責任、損害を受けた方々に対する補償という民事責任、これらは想定されうる所だと思います。それ以外に電線が切断されたことによって作業員が感電した、もしくは通行人がケガをした感電したとなれば、当然、民事上の責任・損害賠償責任も生じる。かつ、過失によって人に傷害を負わせたことになるので、刑事上の責任も事業者に対して問題になる。

作業者の命への危険

アナウンサー:
中部電力パワーグリッド管内では、作業員の死亡や負傷を伴う感電事故が、ほぼ毎年のように起きています。そして、感電事故に遭った方のおよそ3人に1人が亡くなっています。
工事現場の機械化に伴って、クレーンなど重機の使用が増え、過密する住宅など電線に近い場所でのクレーンの使用機会も増加傾向にあり、事故が増える原因の1つとなっています。そして、感電事故の被害に遭う危険が高いのは、玉掛け作業をしている方です。感電のしくみを、CGで再現してみましょう。

ナレーター:
電気はクレーン車を伝わって地面に流れます。そのため、玉掛け作業者に被害が及ぶことが多いのです。

アナウンサー:
こちらは落雷実験の様子です。送電線事故もこれと同じといえます。

中部電力社員:
送電線には高い電圧がかかっており、接触しなくても近づくだけで「火花放電」という放電が発生します。これは雷と同じ原理です。

アナウンサー:
では実際に、その放電実験をおこなっていただきます。お願いします。

中部電力社員:
はい。わかりました。

ナレーター:
送電線に見立てた電線とクレーンのブームに見立てた金属棒による実験です。
電圧を高くしていくと接触しなくても電線から金属棒へ放電が起こります。

中部電力社員:
90,000V、130,000V、まもなく放電します。
(放電音)バチィ(警告音)ブー
今の実験では、この電線に150,000Vの電圧を加えました。電流としては約1アンペア流れています。

アナウンサー:
この場合、人体への影響はどうなのでしょうか?

中部電力社員:
人に0.1アンペアの電流が流れると致命的だと言われる。

医師:
電流が体の中を通ってしまうと非常に危険。心臓の停止あるいは脳に電気が行くと呼吸停止によって即死、あるいはショックによる即死が考えられる。

アナウンサー:
また、即死は免れても、手足の切断を繰り返し死に至るケース、命は取り留めたものの社会復帰が困難になるなど、取り返しのつかない事態を招きます。

電気事故を防ぐために

アナウンサー:
調査によると事故の原因のほとんどが、このぐらいなら大丈夫だろうといった気の緩みや油断によるものです。しかし、これが大きな事故につながります。予め危険防止のための対策を取っていれば、事故は未然に防ぐことができるのです。そこで、皆さまにお願いです。事故防止の第一歩として、送電線や配電線の近くで工事を計画する時は必ず中部電力パワーグリッドにご連絡ください。

ナレーター:
電線は、主にコンクリートの電柱で支えている配電線と鉄塔や鉄柱で支えている送電線の2種類に分類されます。

アナウンサー:
連絡をされるときに便利な目印があります。電柱にはすべて番号が表示されていて、この電柱は「69オ094」です。送電線の場合、送電線名と支持物の番号が表示されています。ここは「新名火大高線・第9号」です。ご連絡をいただいた後、具体的な対策について打合せをおこないます。工程表や、クレーンの使用予定などを確認し、作業計画を作ります。また、感電を防ぐために、クレーンと電線との安全な距離を保つようにします。
こちらにはクレーンが置いてありますが、真上に送電線がはしっています。そのため、この場所でクレーン作業をするために注意を促す標識が設置されています。

ナレーター:
例えば、送電線の下での作業の場合、四隅にポールを立てクレーンの行動範囲を制限します。そして上空には赤い小旗のついたロープを張ります。

アナウンサー:
標識から送電線までの距離が「安全な距離」になります。この送電線は154,000Vですので、標識から送電線までの距離を5m以上確保するように設置してあります。

ナレーター:
中部電力パワーグリッドでは法律に定められた基準に加え、目測による誤差や停止するまでのジブの揺れを考慮した「より安全な距離」を設定しています。この距離は、電圧が高くなるほど大きくする必要があります。

アナウンサー:
また、送電線付近でクレーンを使用する作業現場では、事業者の責任で監視人を配置しなければなりません。なお、配電線には感電防止措置の1つとして、防護管を設置することができます。防護管設置は、2020年10月から事業者の負担となりました。

中部電力パワーグリッドの取り組み

アナウンサー:
中部電力パワーグリッドでは、電線付近での電気事故防止のためにいろいろな取り組みを続けています。

ナレーター:
工事現場周辺での現場パトロールをはじめ上空に送電線があることをお知らせする札や標識の設置、ポスターの配布など、皆さんの安全な作業のためのお手伝いを進めています。

アナウンサー:
電線付近で工事を計画するときには、必ず中部電力パワーグリッドまでご連絡をいただき、今後とも安全な作業に努めていただきますようお願いいたします。

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